実家を兄弟の共有にする前に、確認しておきたいこと

 



親の実家を
兄弟で相続することになったとき

「兄弟で半分ずつ持てば
公平だから、それでいいのでは?」

と考える方は少なくありません。
 

確かに、
持分を同じ割合にすれば
数字の上では平等です。

どちらか一人だけが
実家を相続するより

兄弟みんなで
共有した方が
公平に感じることもあります。
 

ただ、不動産の場合は
預金を半分ずつ分けるのとは
少し違います。

共有にしたあとも
その不動産について
何かを決めるたびに

共有している人同士で
話し合う場面が出てくるからです。

今回は、
実家を兄弟の共有にする前に
確認しておきたいこと
についてです。



「兄弟で半分ずつなら公平」と思っていませんか?


たとえば、
兄と弟の2人で
実家を相続するとします。

兄だけの名義にすると

「兄だけが不動産を
もらうのは不公平では?」

という話になることがあります。
 

そこで、
「じゃあ、2分の1ずつ
共有にしよう」となる。


一見すると、
とても分かりやすい方法です。
 

でも、
実家を共有するということは

実家について
何かを決めるときに

これからもずっと
兄弟で話し合っていく

ということでもあります。
 

相続した瞬間だけ平等なら
それで終わりではありません。

その後、
その家をどうするのか。

誰が管理するのか。

費用をどう負担するのか。

売ることになったら
いつ、いくら位で売るのか。

そこまで考えておく必要があります。



共有名義の不動産で起こりやすいこと


私は不動産の仕事をする中で
共有になっている不動産の
売却相談を数多く経験してきました。

共有者同士が
仲が悪いケース
ばかりではありません。


むしろ、

みんな売ることには
賛成しているのに
話が進まない

ということもあります。

たとえば、

兄は、
「多少安くてもいいから
早く売りたい」
 
と考えている。


一方、弟は、
「せっかくの不動産だから
時間がかかっても、
少しでも高く売りたい」

と考えている。


二人とも
「売りたい」という
方向は同じです。


でも、
売却価格や
売る時期についての
考え方が違います。

また、

「古い建物は取り壊して
更地にして売った方がいい」

と考える人がいる一方で

「売れるかどうか分からないのに、
先に解体費用を負担したくない」

と考える人もいます。

 
この場合も、
「売ること」そのものに
反対しているわけではありません。
 

それでも、
売り方をめぐって
話が止まることがあります。
 

さらに、

売却することで
兄弟姉妹の話が
まとまっていたけれど

そのうち一人が
病気で入院し

売却の話は
一時中止となったケースもありました。


共有名義の
不動産が難しいのは

兄弟の仲が
悪いからとは限りません。

考え方の違い
費用の問題

そして
家族それぞれの
事情の変化でも
話が進みにくくなることがあります。



「なぜ共有にするのか?」を確認


実家を共有にする前に

一度、
こんな質問をしてみてください。
 

「どうして、
この実家を共有にするのだろう?」

たとえば、

「兄弟平等にしたいから」

「今は誰が相続するか
決められないから」

「とりあえず
共有にしておいて
あとで考えればいいから」

「いずれ売って
そのお金を兄弟で分ける予定だから」

理由はいろいろあると思います。

ただ、
特に気をつけたいのが

「とりあえず共有」です。

 

共有にしたことで
問題が解決したように見えても

実際には、
「実家をこれからどうするのか」

という判断を
先送りしただけ
になっている場合があります。
 

相続時には
兄弟全員が元気で
考え方も近かったとしても

5年後、10年後も
同じとは限りません。
 

だからこそ、
共有すること自体を
目的にするのではなく

何のために共有するのか

を確認しておくことが大切です。



「売って現金で分ける」なら、共有する前に確認


たとえば、

「実家は誰も使わないから、いずれ売る」
「売ったお金を兄弟で分ける」

という方針が
決まっているとします。
 

この場合、

「では、一度兄弟共有にしてから売ろう」

と考えることがあります。
 

でも、
最終的な目的が

「実家を売って、
現金で分けること」

であれば、

本当に
一度共有にする必要があるのかは

確認しておいた方がいいと思います。

相続の方法は
家族構成や他の財産
税金などによっても変わります。
 

そのため、
一概に「この方法が正解」
とは言えません。


ただ、

目的が同じなら、
もっとシンプルな方法がないか

を専門家に確認してから
決める価値はあります。
 

共有以外の方法を
知らないまま

「とりあえず共有」

と決めてしまわないことです。



共有にするなら「その後」まで話しておく


それでも、
家族で話し合った結果

「共有が一番合っている」

ということもあります。
 

その場合は、
共有にすること
けで終わらせず

共有した後の
ことまで話しておく
ことをおすすめします。
 

たとえば、
 
誰かが住む予定はあるのか
 
空き家になったら
誰が管理するのか
 
固定資産税を
どう負担するのか
 
修繕費が必要になったら
誰が負担するのか
 
売りたい人が出たら
どうするのか
 
いくらくらいなら
売るのか
 
いつまで
共有を続けるのか

こうしたことです。
 

今は、

「兄弟だから、
そのとき話せばいい」

と思うかもしれません。


でも、年月が経つと、
生活環境も変わります。
 

住んでいる場所も
変わるかもしれません。

経済状況も変わります。

考え方も変わります。

体調の問題もあります。

 

だからこそ、

今のうちに
考えられることは
今のうちに話しておく。

それだけでも、
将来の負担は
ずいぶん違うと思います。



共有以外の選択肢も並べてから決める


実家の相続方法は
共有だけではありません。
 

たとえば、

一人が実家を相続する。

実家を売却して
現金で分ける。

他の預金なども含めて
兄弟間のバランスを考える。

家族によって
選択肢は違います。

大切なのは、

「兄弟だから共有するしかない」
と思い込まないことです。
 

共有にする。

一人で相続する。

売却する。

どれが正しいかは
その家族によって違います。
 

だからこそ、

一つの方法だけで
決めるのではなく

いくつかの選択肢を並べて

それぞれの
メリットと負担を比べてみる。
 

そのうえで、

「私たちの家族なら
これが一番納得できる」

という方法を選ぶことが大切です。



「平等に分ける」と「納得して分ける」は同じではない


実家を2人で
2分の1ずつ共有すれば
数字の上では平等です。


でも、

一人は
近くに住んでいて
頻繁に管理する。

もう一人は
遠方に住んでいて
ほとんど関わらない。

それでも持分は同じ。

修繕が必要になったとき

「今直したい人」と

「まだお金をかけたくない人」
が出てくる。


そう考えると、

持分が
平等だからといって

負担や気持ちまで
平等になるとは限りません。

 

実家を
共有にする前に

まず確認してほしいのは

なぜ共有にするのか。

 

そして、

共有したあと
この家をどうしていくのか
ということです。

 

「とりあえず半分ずつ」
にする前に

一度、家族で
その先まで話してみてください。
 

共有にするかどうかを
決めるのは

そのあとでも
遅くありません。

 
大切なのは

数字の上で
平等にすること
だけではなく


家族みんなが
これからのことまで含めて
納得できる分け方を考えること。
 

それが、
実家の相続を考えるときの
大切なポイントだと思います。




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 代表取締役 髙山幸也 

<取得資格>
公認不動産コンサルティングマスター 相続対策診断士
宅建マイスター
CPM®(米国公認不動産経営管理士)
宅地建物取引士
賃貸不動産経営管理士
賃貸住宅メンテナンス主任者
ICA公認相続対策コンサルタント