■退去予告のルール
賃貸物件の退去連絡は事前に行なうよう契約で定められています。退去する場合は、事前に借主から貸主または管理会社へ退去の連絡をする必要があり、1ヶ月前までに予告をする取り決めが多いようです。また、この1ヶ月前予告がなかった場合は、解約予告義務違約金などといった名目で、借主から貸主へ支払う違約金が発生するのが一般的です。
■賃料の基本的な考えかた
賃貸借物件の賃料は、基本的に月単位となっており、「1日いくら」といった日割りになっていません。ですので、10日に退去しようが、20日に退去しようが、1ヶ月分の賃料が必要となります。なお、入居時と退去時に限り「日割り」で計算する契約もあります。
入居時の賃料を「日割り」にて計算する契約は多いですが、退去時の賃料計算は「日割り」、「月割り」どちらも同じくらいの割合となっています。
■賃料を月割計算する場合
「月割り」の場合の賃料計算は簡単で、わかりやすいですね。例えば、3月15日に退去連絡があった場合、4月分の賃料を全額支払って、4月末までに退去するといったことになります。
■賃料を日割計算する場合
「日割り」の場合は、「月割り」よりちょっと複雑です。1ヶ月のうち、利用した日数分に該当する賃料を支払うことになります。例えば、3月15日に退去した場合、15日分の賃料を支払うこととなります。
■退去時の賃料を日割計算するときの前提条件
「日割り」計算を行う場合は、1ヶ月に満たない期間の賃料を何日として計算するのか、退去の予告はいつまでにするのかなど、契約書に書いてある内容によって変わってきます。
①
1ヶ月に満たない期間の賃料は、1ヶ月を30日として日割り計算する。
②
借主は、貸主に対して30日前までに解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
③
前項の規定にかかわらず、借主は解約申入れの日から30日分の賃料又は賃料相当額を貸主に支払うことにより、解約申入れの日から起算して30日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。
このような内容になっている契約書を多く見かけます。こうすることによって、退去連絡をしてから30日分の賃料を支払うことによって解約となります。言い換えると、退去連絡をしてから30日分の賃料は必ず支払う必要がある。ということになります。
■30日後はいつ?
ここで、疑問が生まれます。退去連絡をしてから30日後はいつなのか。どのように数えたらいいのか。期間の計算方法までは、契約書に記載されていないので、いろんな解釈によって誤解が生じることがあります。
■初日不算入の原則
まず、問題となるのが、いつからカウントするのか。退去の連絡があった日を1日とするのか、翌日を1日とするのか。これは、「初日不算入の原則」といった考え方を採用します。民法140条によると、期間を計算する際に、初日はカウントしないことが原則となっています。30日は数えるのに間違えそうですね。そんなときは、インターネットで「日付計算(日付+日数)」と検索。便利な計算サイトがあります。
<例>
・家賃90,000円
・3月15日に退去連絡。契約内容は以下のとおり。
・1ヶ月に満たない期間の賃料は1ヶ月を30日として日割り計算する。
・30日前までに解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
・前項の規定にかかわらず、借主は解約申入れの日から30日分の賃料又は賃料相当額を貸主に支払うことにより、解約申入れの日から起算して30日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。
・30日後の該当日:4月14日(解約日)
※3月16日を1日目として数えますので、30日後は4月14日
・4月分の賃料:42,000円
90,000円×14日/30日=42,000円
<注>解約予告の期間を1ヶ月前、賃料は1ヶ月を日割り計算する。といった場合は計算の考え方が違ってきますので、ご注意ください。