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どうして賃貸住宅が相続税対策になるのか

 

「相続税を節税するためにアパートを建てた」よく聞く話ですね。「建築費を借入れすれば借金が増えるから節税になる」これもよく聞く話です。相続税の対策として、賃貸住宅を新築される方を多く見かけます。最近、この賃貸住宅による節税が認められないといった事例もありましたので、必ず節税効果があるとは言い切れなくなりました。しかし、なぜ賃貸住宅が節税対策になるのか。その理由をしっかりと知っておくことは大切です。




■財産評価の圧縮

賃貸住宅とその土地は、他の相続財産と比べて相続税の評価額が大幅に圧縮されます。現金や預貯金は額面通りの評価、上場株式は過去3ヶ月の株価平均値となります。ところが、不動産の場合は利用方法によって計算が異なります。その中でも、他人に貸している土地や建物は、いちばん評価額が低くなり、財産の評価を圧縮できる仕組みになっています。つまり、他人に貸している不動産は、すぐに返してもらえないので、その分評価を安くしておくよ。そんなイメージです。




■そもそも不動産は現金より評価が低い

例えば、1億円の現金と、時価1億円の土地があったとします。両方ともおなじ1億円なので、評価は同じように思えますが、実際の評価は異なります。結論から言いますと、相続税評価は土地のほうが低くなります。土地の評価には「路線価」(倍率表の地域もあり)というものを使い、この「路線価」は国が発表している土地の価格である「公示価格」の8割程度といわれています。つまり、「現金化するのに手間や経費がかかるかどうか」という点が評価を計算する際に考慮されています。他人に貸している土地や建物は、その所有者が使いたくなっても自由に利用できませんので、評価が低くなるというわけです。現金を100とすると、土地は80といった具合です。




■賃貸住宅を建てたときの効果

【建物】

現金を建物に変えて他人に貸すと、相続税財産の評価が低くなります。建物の相続税評価は、固定資産税評価額が利用され、これは建築費の約50%~60%程度の水準といわれています。仮に60%の評価とすると、この時点で建築費より40%引きという計算です。さらに、人に貸している場合は、ここから借家権割合(30%)が減額されます。

 

【土地】

土地は貸家建付地評価となり借地権割合(30%~90%)と借家権割合(30%)を考慮して計算されます。私のいる静岡県浜松市では借地権割合が50%の地域が多く、その場合、土地の更地評価の85%という計算になります。

 

【注意点】

①これら土地と建物の評価の計算には賃貸割合(入居率)が関係してきますので注意が必要ですが、また別の機会に説明しますね。

 ②ずっと賃貸事業をおこなっていなかった人が、相続の直前などに突然おこなうケースはNGとなることがありますのでご注意ください。




■財産評価の圧縮効果を数字で確認

例)現金1億円と更地評価1億円の土地を所有。この土地に、現金1億円で賃貸マンションを建築。この時点での財産評価額は2億円(A

 

【建物の評価】

固定資産税評価額になる

1億円の現金が建物に変わることにより、固定資産税の評価額となります。

仮に60%だとすると、建物の評価額は6,000万円になります。


借家権割合(30%)が適用される

 計算式→建物固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

 6,000万円×(1-30%)×100%=4,200万円

 ※賃貸マンションは満室と仮定して賃貸割合は100%とする

 ※賃貸マンションを建築したことにより、現金1億円は、

  建物評価4,200万円になりました(B

 

【土地の評価】

借家建付地評価となる

計算式→土地の更地評価×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

 1億円×(150%×30%×100%)=8,500万円

※借地権割合を50%の地域と仮定

※マンションは満室と仮定して賃貸割合は100%とする

 ※賃貸マンションを建築したことにより、

  更地評価1億円の土地の評価は、8,500万円になりました(C

 

【結果】

賃貸マンションを建てる前の財産評価:2億円(A

賃貸マンションを建てた後の財産評価:12,700万円(B+C

財産評価の圧縮効果▲7,300万円   

 ※賃貸マンションを建てたことにより、当初2億円だった財産評価が12,700万円になり、7,300万円の評価圧縮となりました。




■まとめ

現金を建物に変えて、その建物を貸室として賃料をもらって他人に貸す。そうすることによって、当初の財産より評価が低くなる。これが、賃貸住宅が相続税対策になる理由です。なお、土地については「小規模宅地の特例」に該当すれば、さらに評価減となります。(貸付事業用宅地は200㎡まで50%減額)ただし、相続開始前3年以内に事業が行われた土地は「小規模宅地の特例」の対象外です。




■キーワード

 ・賃貸住宅を建てることによって、土地と建物の相続税評価を圧縮

・小規模宅地の等の特例で土地の評価はさらに評価減

・借入してもしなくても評価減の効果は同じ

・空室があると圧縮効果が低くなる

 


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静岡県浜松市中区佐鳴台3-35-7
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株式会社 丸浜不動産コンサルティング
代表取締役 髙山幸也 

<取得資格>
CPM®(米国公認不動産経営管理士)
公認不動産コンサルティングマスター
宅地建物取引士
賃貸不動産経営管理士
宅建マイスター
ICA公認相続対策コンサルタント

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