相続税を減らす為におこなう「借金」は、相続対策なのか?
そんな疑問を考えていく3回目です。
土地にアパートを建てると、相続税の評価が下がります。
これは、現金を建物という資産に変えて、なおかつ人に貸すことによって、評価が下がるという事です。お金を借りたからマイナスの資産が増えて評価が減ったという訳ではありません。
いろんな話がごちゃまぜになって、
このあたりが分かりにくくなっているのが現実ですね。
アパートを建築した土地は評価が下がります。
そして現金よりも建物のほうが評価が低くなります。
なので、相続財産の評価が下がります。
アパート建築は相続対策としては良いですが、借金自体は相続対策にはなりません。
借金はあくまで、現金が無いから借りたということです。
手持ちの現金で建てても、相続税の評価が下がることに関しては変わらないです。
借金で建てても、現金で建てても、効果は同じ。
無理に借金をして、必要以上の規模や設備にした結果、賃貸運営のキャッシュフローが悪化しないよう気を付けましょう。
*パターンA:現金金で賃貸マンションを建築した場合
【対策前の資産の評価額】
預金1億円、土地1億円、よって対策前の財産評価額は2億円
【実施する相続対策】
1億円の賃貸マンションを建築して賃貸する
【対策後の資産】
・建物は、固定資産税の評価額で評価されます(約60%程)
1億円×60%=6,000万円(建物の固定資産税評価額)
・さらに、人に貸すことにより借家権割合(30%)が差引けます。
6,000万円-(1-0.3)=4,200万円
建物の評価は、4,200万円になりました。
・1億円の土地は、賃貸マンションを建てたことにより
貸家建付地としての評価となり、次の計算式で計算します
土地の価格×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
※借地権割合は、50%とします
※借家権割合は、全国一律30%
※賃貸割合は、100%とします
1億円×(1-50%×30%×100%)=8,500万円
土地の評価は、8,500万円となりました。
・対策後の財産は、建物4,200万円、土地8,500万円となり
合計1億2,700万円となりました。
※ちなみに、土地は「小規模住宅用地の特例」を使うことも可能です
(200㎡まで50%減額)
【パターンAの節税効果】
現金で賃貸マンションを建てた場合の節税効果は、
当初、現金1億円、土地1億円で合計2億円だった評価が、
1億2,700万円に圧縮されました。
2億円-1億2,700万円=7,300万円
よって、7,300万円の評価が減少したことになります。
預金を建物に変え、その建物を人に貸すことによって評価が低くなる。
これが賃貸マンション建築における相続対策の正体です。
*パターンB:借金で賃貸マンションを建築した場合
【対策前の資産の評価額】
土地1億円、よって対策前の財産評価額は1億円
【実施する相続対策】
1億円を借入して、建物を建築し、賃貸する
【対策後の資産】
・借入した1億円は建物に変わりました。
・建物の評価額は、上記パターンAと同じで4,200万円。
・土地の評価額も、上記パターンAと同じで8,500万円。
・そして、借入金が1億円あります。
・対策後の財産は、(建物4,200万円+土地8,500万円)より
借入金1億円を差引きますので、2,700万円となります。
【パターンBの節税効果】
借金で賃貸マンションを建てた場合の節税効果は、
当初、土地1億円で合計1億円だった評価が、2,700万円に圧縮されました。
1億円-2,700万円=7,300万円
よって、7,300万円の評価が減少したことになります。
以上より、パターンAでもパターンBでも
評価が減少した金額は7,300万円となり効果は一緒です。
【まとめ】
*評価額の減少額は、現金で行った場合と同じ
*借入金があるから相続対策ではなく、不動産の有効活用が相続対策
【ポイント】
答えを一つしか持っていない人に、相続対策の相談をするのは避けましょう。
=おわり=
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